3.家庭内事故を防ぐために

高齢者の家庭内事故は、本人だけでなく家族や親せきなど周りの人たちが意識して対策をとることで、その多くを防ぐことができるんだ。
単身または夫婦のみで生活する高齢者が増えているなか、家庭内で起こる高齢者の「ころぶ」、「つまる」、「おぼれる」を防ぐためにどのようなことができるのか、また、万が一事故が起こった場合にはどうすればよいのかみてみよう。

※タブを切り替えると、防止策や万が一の場合の応急手当・対応をご覧いただけます。

ころぶ防止策の例

加齢による変化
  • 継続できる適度な運動をすすめましょう。
  • 杖や歩行器等の歩行を補助する器具の利用もすすめてみましょう。
  • 焦らなくて済むように時間に余裕をもって行動するようにすすめましょう。
  • 必要に応じて病院を受診させる等、疾患を把握させ、注意を促すようにしましょう。
生活習慣
  • 体力測定結果や服用している薬など身体の状態を把握しておきましょう。
  • バランスの良い食生活をすすめましょう。
  • こまめな水分補給をすすめましょう。
  • 薬の副作用を認識させ、注意を促しましょう。
  • 副作用が起きにくい薬への変更や薬の減量等、主治医へ相談できるようにサポートしましょう。
生活環境
  • 段差を解消しましょう。
  • 整理整頓し、つまづく原因となるものを取り除きましょう。
  • 手すりを設置しましょう。
  • 照明は足元が見えやすい明るさにしましょう。
  • 転倒した場合のけがを防ぐため衝撃吸収用マットを設置しましょう。
その他
  • 転倒後症候群や生活不活発病に対するケア・サポートを行いましょう。
  • 転倒後症候群や生活不活発病が疑われないか注意深く⾒守り、心理的なケアも含めたリハビリなどのケア・サポートを行いましょう。

もしもの場合に備えて

ころぶ応急手当・対応

  • 意識の有無、腫れ・変形等の異常の有無等、状態をよく観察しましょう。
  • 意識がない場合は、すぐに救急車を呼びましょう。

※時間がたってから異常が出る場合もあるので、経過を観察しましょう。

参考:消費者庁「みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故」

つまる防止策の例

加齢による変化
(食べ物がつまる場合)
  • 歯周病予防のための手入れについて確認・サポートしましょう。
  • 義歯の調整等をサポートしましょう。
  • 飲み込む力の強化を促しましょう。(口や舌の体操等)
(異物がつまる場合)
  • 視覚・味覚等の身体機能や判断機能の低下(含む認知症)がみられないか観察し、必要に応じて病院を受診させる等早期発見に努めましょう。
生活習慣
(食べ物がつまる場合)
  • 食べ物は細かく切るようにすすめましょう。
  • 最初にお茶や汁物でのどを潤すようにすすめましょう。
  • ゆっくりよくかんでから飲み込むように促しましょう。
生活環境
(異物がつまる場合)
  • 食べ物と間違えやすいものを放置しないように注意しましょう。
  • 食べ物と薬は分けて保管するように注意しましょう。
  • ヘルパーに食事の介助を依頼しましょう。

もしもの場合に備えて

つまる応急手当・対応

  • 喉に手を当てて呼吸ができなくなったことを示す動作(チョークサイン)を見逃さないようにしましょう。
  • 意識がある場合は、腹部突き上げ法や背部叩打法でつまらせたものを取り除きましょう。
  • 意識がない場合は、すぐに救急車を呼ぶとともに、心肺蘇生を行いましょう。

消費者庁「みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故」

おぼれる防止策の例

入浴は体への負担が大きいため、デイサービスの利用やシャワーのみの利用をすすめることが有効です。
ほかにも、以下のような防止策があります。

加齢による変化
(ヒートショック・のぼせによりおぼれる場合)
  • 浴槽から急に立ち上がらないように促しましょう。
(すべっておぼれる場合)
  • 浴槽での転倒を防ぐために継続できる適度な運動をすすめましょう。
生活習慣
(ヒートショック・のぼせによりおぼれる場合)
  • 湯温や入浴時間に注意するように促しましょう。
  • 食後・飲酒後の入浴は控えさせましょう。
生活環境
(ヒートショック・のぼせによりおぼれる場合)
  • 入浴前に脱衣所や浴室を暖めておくように促しましょう。
(すべっておぼれる場合)
  • 浴槽での転倒を防ぐために浴槽内に手すりやすべり止めマットを設置しましょう。

もしもの場合に備えて

おぼれる応急手当・対応

  • 浴槽の栓を抜き、大声で助けを呼び、人を集めましょう。
  • 入浴者を浴槽から出せるようであれば救出し、肩をたたきながら声をかけ、意識と呼吸の有無を確認しましょう。
  • 意識がない場合、呼吸がない場合は、すぐに救急車を呼ぶとともに、心肺蘇生を行いましょう。

消費者庁「みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故」

高齢者を見守る方法として

対応の判断を迷った際に備えて、相談しやすい主治医がいるか確認しておくことも大切だよ。
また、地方自治体には緊急通報装置等の貸し出しを行っているところもあるので、高齢者の居住地の自治体のウェブサイトを確認してみるのもよいと思うよ。


このほかにも、高齢者を見守る方法の一例として次のようなものがあります。

※カーソルを合わせると具体的な事例をご覧いただけます。

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高齢者の家庭内事故を防ぐために、まずは高齢者の加齢による変化、生活習慣、生活環境を把握することからはじめよう。そのうえで、加齢による変化への対応、生活習慣の改善、生活環境の整理をサポートをすることが大切だね。