損害保険料率算出機構 今後の10年ビジョン(2013~2022年度)
当機構の目指す姿を明確にするため、「今後の10年ビジョン」を策定しています。
ビジョン策定の必要性について
人口減少・少子高齢化、自然災害の増加・激化、情報・安全等の技術革新、リスク管理の高度化など、損保業界を取り巻くリスク環境、マーケット環境および規制環境は、大きく変化しています。当機構がこのような環境変化に適応し、その存在意義を将来にわたって確固たるものとしていくため、今後の施策における骨太の基軸となる長期ビジョンを策定しました。
ビジョンの位置付けについて
このビジョンは、当機構が、その使命を果たす上で「10年後にありたい姿」をイメージしたものです。この内容は、今後、中期計画(3年)や単年度計画を立案し、遂行する際の価値判断の指針とします。なお、このビジョンそのものについても、各中期計画の検討に先立ち、環境変化を踏まえて妥当性を検証し、新たな課題設定や既存課題の見直しを行っていきます。
ビジョン
私たちは、既存業務の基本的構造の見直しと新たな付加価値の創造によって、損害保険業の健全な発達を支え、広く社会から評価される存在を目指します。
方針1損保業界全体のさらなる品質向上および効率化に貢献するため、既存業務の基本的構造の見直しを推進します。
取組みイメージ
料率/リスク関連業務
- リスク環境、マーケット環境の変化等に対応した料率制度・体系の構築・改善
- 料率算出:周辺環境の変化や技術の進展の動向のタイムリーな情報収集、調査・研究、分析情報の会員への提供および料率制度・体系への反映
- 標準約款:法令・判例等の動向やわかりやすさの向上などの社会的要請等に関する調査・研究の拡充および標準約款の機動的な見直し
- 規制環境の変化等を展望した料率算出手法、提供情報の構築・改善
- 料率算出:リスク管理の高度化(統合リスク管理(ERM)の進展等)や監督・会計制度(ソルベンシーⅡ、国際財務報告基準(IFRS))の変更を展望した料率算出手法の高度化
- データバンク:リスク管理の高度化に応じた新たな統計データの収集態勢の整備およびこれに基づく会員への情報・サービスの提供の向上等、データバンク業務の拡充
- 統計データの精度向上および会員からのデータ報告に係る負荷軽減に向けた報告内容等の見直し
自賠責損害調査業務
- 業務モデルの見直し
- 一括払点検:保険会社とのデータ連携による業務プロセスの見直し等を視野に入れた、業界全体における業務の適正性、効率性の向上
- 医療調査:保険会社の業務プロセスとの連動を視野に入れた、支払の適正性向上に向けた医療費に関するチェック体制の強化
- 後遺障害等級認定:周辺環境の変化への適切な対応および業務プロセスの見直しによる一層の迅速性・適正性などの向上に向けた認定体制の強化
組織基盤
- 既存業務の効率化
- 会員や社会からのニーズの把握、費用対効果を含む業務遂行態勢の適切性の検証を踏まえた既存業務の効率化
方針2会員や社会のニーズを的確に捉え、既存の枠組みにとらわれない業務領域の拡大、社会への情報発信・提言を積極的に行うことにより、新たな付加価値を創造します。
取組みイメージ
- 新たなニーズに対応した業務領域の拡大
- 料率算出:社会動向の変化に伴い新たに参考純率の算出対象とすることが社会にとって有益であると見込まれる領域についての参考純率化の検討
- 自賠責損害調査:ノウハウを活用したサービスの拡充
- 会員の海外事業展開等に資する取組みの実施
- アジア諸国の関係機関との交流・連携の強化、当機構の業務モデルの提供等
- 欧米諸国をはじめとする関係機関とのグローバルな情報交換ネットワークの構築
- 社会の安定に資する取組みの実施
- 参考純率・基準料率業務について、広く消費者からの声に耳を傾け、消費者の理解の向上に資する積極的な情報を発信
- モラルリスクへの対応を含む、事故防止や損害軽減等に向けた、社会に対する積極的な情報発信・提言ならびに会員および損保協会等の関係機関との連携による各種取組み
- 損保業界の健全性確保に資する会員会社へのサポート等の実施
前提ビジョンに基づく取組みと有機的に連動した「人材」の確保・育成および「システム基盤」の整備・強化等、組織基盤の整備・強化を通じて、組織全体のパフォーマンスの向上を図ります。
共通の前提
- 人材
組織全体における人材の有効活用、高度な専門性を有する人材の確保・育成、外部との交流を通じた人材育成
- システム基盤
IT技術革新の動向や会員における新規システム構築の見通し等を踏まえた、業務プロセスの抜本的な見直しや新たな事業展開などの各種取組みに連動したインフラの構築
- 組織体制・風土
ビジョンに基づく取組みに連動した、組織体制の最適化、業務の革新と創造に向けた“挑戦的風土の醸成”など組織風土の改革の推進