自賠責保険基準料率

自賠責保険は、法令により、基本的に全ての自動車に契約が義務付けられている保険で、自動車事故で他人を死傷させ、損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。

また、自賠責保険では、加害者(被保険者)が損害賠償金を支払った上で契約保険会社に保険金請求を行うほか、被害者が直接、契約保険会社に損害賠償額の請求を行うこともできます。

事故

自賠責保険基準料率の改定背景等

自賠責保険は特に公共性の高い保険で、その内容は法令によって定められています

強制保険である

自動車を運行する場合には、基本的に全ての自動車について自賠責保険を契約しなければなりません。

支払われる保険金の額

保険会社から支払われる保険金の支払限度額が定められています。

損害の内容支払限度額
死亡による損害3,000万円
後遺障害による損害後遺障害の程度により、75~4,000万円
傷害による損害120万円

当機構では自賠責保険の基準料率を算出しています

基準料率とは、料率算出団体が算出する保険料率のことです。当機構では料率算出団体として、会員保険会社から収集した大量の契約・支払データのほか、各種の外部データも活用して自賠責保険の基準料率を算出し、会員保険会社に提供しています。

会員保険会社は、自社の保険料率として、当機構が算出した基準料率を使用することができ、現在、全ての会員保険会社が基準料率を使用しています。

当機構では自賠責保険の基準料率を算出しています

当機構では自賠責保険の基準料率を算出しています

なお、民間企業である保険会社が販売する一般的な保険には、付加保険料率の中に利潤が織り込まれています。しかし、自賠責保険は、社会政策的な側面をもつ保険であることから、その保険料率は「能率的な経営の下における適正な原価を償う範囲内でできる限り低いものでなければならない」ことが法令で規定されており、利潤や損失が生じないように算出する必要があります。

これを「ノーロス・ノープロフィットの原則」といいます。

自賠責保険基準料率ではリスクに応じた料率区分を設定しています

自動車を利用する目的(自家用・事業用など)や自動車の種類(乗用・貨物、普通・小型・軽など)などにより、事故が発生する頻度や被害の程度には差があります。

このようなことから、自賠責保険では、用途・車種などによるリスクの差異に応じた区分を設けており、個々の契約者によって保険料率が異なります(北海道・本州・四国・九州、これらの離島、沖縄県、沖縄県の離島によっても異なる保険料となっています)。

なお、法令で契約が義務付けられている自賠責保険では、その社会保障的な性格から、誰もが無理なく保険に加入することができるよう、契約者により保険料率に大きな差が生じないように配慮する必要があるため、自動車保険と比較して区分が少なくなっています。

料率区分の例:用途・車種

自動車を利用する目的(自家用・事業用など)や自動車の種類(乗用・貨物、普通・小型・軽など)によってリスクが異なるため、用途・車種別に区分を設けています。

自動車

<例>

  • 自家用乗用自動車
  • 軽自動車
  • 営業用普通貨物自動車
  • 小型二輪自動車
  • 原動機付自転車 など

自賠責保険基準料率のあらまし

当機構で作成している
「自賠責保険基準料率のあらまし」[2,298KB

「自賠責保険基準料率のあらまし」では、自賠責保険に関する仕組みや保険料の適用方法などを分かりやすくまとめています。こちらもあわせてご覧ください。

合理的な手法を用いて適正な基準料率を算出しています

当機構では基礎データを収集し、これを分析するとともに、社会環境の変化を考慮したうえで、保険数理などの合理的な手法を用いて基準料率の算出を行っています。

社会環境の変化を考慮した上で、基準料率を算出する

社会環境の変化を考慮したをで、基準料率を算出する

その後、金融庁長官に、算出した自賠責保険基準料率の届出を行い、基準料率が「保険料率の3つの原則」および「ノーロス・ノープロフィットの原則」に適合していることについて審査を受けます。これを適合性審査といいます。

金融庁では、適合性審査のほか、自賠責保険審議会に諮問し、同審議会の審議を経て答申を受けます。また、国土交通大臣の同意を得ます。

会員保険会社は、審査期間を経過した後に、金融庁長官に基準料率を使用する旨の届出を行います。

1、基準料率の届出 2、基準料率の提供 3、適合性審査 4、諮問・答申 5、同意 6、基準料率を使用する旨の届出

1、基準料率の届出 2、基準料率の提供 3、適合性審査 4、諮問・答申 5、同意 6、基準料率を使用する旨の届出

届出を行った基準料率は、以下のように公開性・透明性の確保を図っています。

届出時の対応

  • 当機構は、金融庁長官に基準料率を届け出たときは、官報および日刊新聞の全国版に公告して、契約者をはじめ社会一般にお知らせしています。
  • 届出の内容を報道機関に情報提供し、当機構ウェブサイトにも掲出します。
  • 当機構は、本部に基準料率表および基準料率の算出の基礎資料を備え付けており、利害関係人はその内容を閲覧することができます。

審査期間経過後の対応

  • 金融庁長官は、審査期間が経過した後、届出のあった基準料率を官報に告示します。
  • 当機構は、審査期間が経過した後も、本部に基準料率表および基準料率の算出の基礎資料を備え付けており、利害関係人は内容を閲覧することができます。

毎年度検証を行い、改定の必要があれば基準料率の改定の届出を行います

基準料率は、算出した時点では適正であっても社会環境の変化などによりリスクの実態が変化するため、いつまでも適正な水準であるとは限りません。このため、基準料率が適正な水準であるか否かについて、毎年度チェックをしており、これを「検証」といいます。この検証の結果、改定の必要があれば基準料率の改定の届出を行います。

自賠責保険基準料率水準の検証結果については、金融庁長官への報告後、毎年、自賠責保険審議会で審議が行われることになっています。

検証

検証

当機構が2010年度以降に届け出た基準料率表等はこちらをご覧ください。

2024年1月17日金融庁長官への届出(2024年2月28日適合性審査終了)

[特定小型原動機付自転車の区分を新設]

2023年1月18日金融庁長官への届出(2023年1月30日適合性審査終了)

2021年1月15日金融庁長官への届出(2021年1月28日適合性審査終了)

2020年1月20日金融庁長官への届出(2020年1月30日適合性審査終了)

2017年1月17日金融庁長官への届出(2017年1月30日適合性審査終了)

2015年12月16日金融庁長官への届出(2016年3月15日適合性審査終了)

2013年1月15日金融庁長官への届出(2013年1月30日適合性審査終了)

2011年1月18日金融庁長官への届出(2011年1月31日適合性審査終了)

※1
本表の基準料率は2024年4月1日以降に保険期間の始期を有する保険契約に適用されます。
※2
本表の基準料率は2023年4月1日以降に保険期間の始期を有する保険契約に適用されます。
※3
本表の基準料率は2021年4月1日以降、2023年3月31日以前に保険期間の始期を有する保険契約に適用されます。
※4
本表の基準料率は2020年4月1日以降、2021年3月31日以前に保険期間の始期を有する保険契約に適用されます。
※5
本表の基準料率は2017年4月1日以降、2020年3月31日以前に保険期間の始期を有する保険契約に適用されます。
※6
本表の基準料率は2016年4月1日以降に締結し、2017年3月31日以前に保険期間の始期を有する保険契約に適用されます。
※7
本表の基準料率は2013年4月1日以降、2017年3月31日以前に保険期間の始期を有する保険契約に適用されます。
※8
本表の基準料率は2011年4月1日以降、2013年3月31日以前に保険期間の始期を有する保険契約に適用されます。

これまでの自賠責保険制度・料率の変遷については、以下の資料をご覧ください。

自動車保険の概況

当機構で作成している「自動車保険の概況」

「自動車保険の概況」では、自賠責保険に関する仕組みや補償内容、収支動向などについて、詳細に記載しています。こちらもあわせてご覧ください。

保険まめ知識

損害保険の価格とは

損害保険は「将来、事故が発生したときに保険金を支払う」という商品です。契約者が支払う保険料が「損害保険の価格」に該当します。損害保険という商品は、一般的な商品とは異なり、保険を販売(契約)する時点では支払う保険金があらかじめ定まっていないという点に特徴があります。それではどのように保険料(損害保険の価格)を決定するのでしょうか?

将来、事故が発生したときに支払う保険金に充てられる保険料(純保険料率)は、過去の保険データをもとに、科学的・工学的手法や保険数理などの合理的な手法を用いて、将来の事故の支払額を計算することによって、将来の保険金の支払いに過不足がないように算出しています。この点が、保険料を決定するうえでの難しさであり、料率算出団体である当機構が担う役割でもあります。

料率算出団体とは

「損害保険料率算出団体に関する法律」(料団法)に基づき、公正な保険料率の算出の基礎とし得る参考純率・基準料率を算出するために設立された団体です。

保険料率とは

自賠責保険の保険料率とは、自動車1台あたりの保険料をいいます。

保険料率は、純保険料率(事故が発生したときに、保険会社が支払う保険金に充てられる部分)と、付加保険料率(保険会社が保険事業を行うために必要な経費などに充てられる部分)に分けられます。

保険約款とは

保険約款とは、補償内容、保険金が支払われる場合の条件、支払われる金額の計算方法などを定めた資料です。

自賠責保険の正式名称

自賠責保険の正式名称は「自動車損害賠償責任保険」です。

自賠責保険の根拠となる法令

自賠責保険は、「自動車損害賠償保障法」(自賠法)に基づく保険です。この法律は、1955年7月に公布されました。

損害賠償責任とは

故意や過失により他人に損害を与えた場合に、その損害を原則として金銭により賠償する責任のことです。

自賠法では、自動車の運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責任が生じることとされています。

自賠責保険審議会とは

自賠責保険の健全な運営を図るため、自賠法に基づき金融庁に設置されたものです。自賠責保険に関する事項の調査・審議は、内閣総理大臣の諮問に応じて行われます。

自動車保険との関係

自賠責保険では、支払われる保険金の上限額が定められています。

自動車保険のうち、対人賠償責任保険は、自賠責保険と同様に、他人を死傷させた場合の損害賠償責任を補償する保険です。支払われる保険金の額は、自賠責保険から支払われる額の超過部分であり、自賠責保険との関係において、上積み保険として機能しています。

保険料率の3つの原則とは

損害保険料率算出団体に関する法律第8条において「合理的かつ妥当なものでなければならず、また、不当に差別的なものであつてはならない」と規定されています。

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