脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定

自賠責保険では、脳外傷による高次脳機能障害であると認定されれば、その症状に応じ、自動車損害賠償保障法(自賠法)施行令別表第一および別表第二に定める後遺障害等級のいずれかに該当するものとして、取り扱っています。その際、高次脳機能障害に合併した運動マヒなどの神経症状も十分に考慮します。

脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定について

当機構で作成しているリーフレット
「脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定について」[333KB

「脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定について」では、高次脳機能障害の認定のための請求方法や必要書類などを分かりやすくまとめています。こちらもあわせてご覧ください。

専門医・弁護士等を委員とする「自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会」の報告書をまとめています

「高次脳機能障害に該当する可能性がある事案」について、受傷後の詳細な意識障害の推移、高次脳機能障害の内容・程度の照会、被害者側への日常生活状況の確認などの詳細な情報を得た上で、専門医を中心とする自賠責保険(共済)審査会高次脳機能障害専門部会が後遺障害等級を認定する仕組みを構築しています。これを「高次脳機能障害認定システム」といいます。

これまでの「自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会」報告書は以下のとおりです。

日本脳神経外傷学会で発表をしています

事故防止・損害軽減に資する取組みとして、2017年3月10・11日開催の第40回日本脳神経外傷学会で当機構が発表した内容をまとめ、広くご覧いただけるようウェブサイトにて公表しています。本資料は、子どもの交通事故に関して、自賠責保険で高次脳機能障害が問題となった事例について集計・考察しています。

政府から高次脳機能障害への適切な対応についてのお知らせが出ています

厚生労働省において平成24年度厚生労働科学研究障害者対策総合研究事業「高次脳機能障害者の社会参加支援の促進に関する研究」が取りまとめられ、画像所見が認められない症例であって「MTBIに該当する受傷時に意識障害が軽度である症例にあっても高次脳機能障害を残す可能性について考慮する必要がある。」とされ、厚生労働省労働基準局労災補償部補償課長より都道府県労働局労働基準部労災補償課長あてに「画像所見が認められない高次脳機能障害に係る障害(補償)給付請求事案の報告について」通達が発出されています。

国土交通省からは、自賠責保険・共済の関係機関に対し、高次脳機能障害への適切な対応についての周知依頼がなされています。

自賠責保険における高次脳機能障害認定においても、上記の報告書のとおり、画像所見が認められないケースであっても、自賠責保険(共済)審査会 高次脳機能障害専門部会にて症状の経過、検査所見等も併せ慎重に審査を行います。

国土交通省 自賠責保険(共済)ポータルサイト高次脳機能障害の認定についてはこちら

自動車保険の概況

当機構で作成している「自動車保険の概況」

「自動車保険の概況」では、高次脳機能障害の専門部会の実施件数をはじめ、当機構で行っている自賠責保険損害調査に関する近年の傾向などについて、詳細に記載しています。こちらもあわせてご覧ください。

保険まめ知識

自賠責保険の概要

自賠責保険は、自動車による人身事故の被害者救済を目的として、法令により、基本的に全ての自動車に契約が義務付けられている、社会政策的な側面を持つ保険です。

自賠責保険の正式名称

自賠責保険の正式名称は「自動車損害賠償責任保険」です。

自賠責保険の根拠となる法令

自賠責保険は、「自動車損害賠償保障法」(自賠法)に基づく保険です。この法律は、1955年7月に公布されました。

自賠責共済とは

各種協同組合が取り扱うものを自賠責共済といいます。自賠法では自賠責保険と同様に自賠責共済に加入することも認められています。

当機構では、自賠責共済の損害調査も行っています。

なお、このページでは、便宜上、自賠責共済を含めて「自賠責保険」と記載しています。

自賠責保険の支払限度額

自賠責保険では、政令に定められた限度額の範囲で保険金が支払われます。限度額は以下のとおりです。

死亡の場合………3,000万円
後遺障害の場合…75万円~4,000万円(後遺障害の程度による)
傷害の場合………120万円

なお、限度額は被害者1名ごとに定められており、1つの事故で複数の被害者がいる場合でも、被害者1名あたりの限度額が変動することはありません。

脳外傷による高次脳機能障害とは

脳外傷による高次脳機能障害とは、脳外傷後の急性期に始まり多少軽減しながら慢性期へと続く、典型的な症状としては多彩な認知障害、行動障害、および人格変化等の特徴的な臨床像をいいます。

認知障害:記憶・記銘力障害、注意・集中力障害、遂行機能障害などで、具体的には、新しいことを覚えられない、気が散りやすい、行動を計画して実行することができない、複数のことを同時に処理できない、話が回りくどく要点を相手に伝えることができない、など
行動障害:周囲の状況に合わせた適切な行動ができない、職場や社会のマナーやルールを守れない、行動を抑制できない、危険を予測・察知して回避的行動をすることができない、など
人格変化:受傷前にはみられなかった発動性低下と抑制低下であり、具体的には自発性低下、気力の低下、衝動性、易怒性、自己中心性、など

支払われた保険金などに不服がある場合

調査結果や支払われた保険金または損害賠償額に不服がある場合、異議申立として、保険会社に再度請求を行うことができます。

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