当機構で行う損害調査

自賠責保険に請求があった場合、請求書類に基づき、事故状況や被害者が被った損害額の詳細な調査を当機構で行います。その調査を充実させるため、当機構では地区本部・自賠責損害調査事務所を設置しています。

  • 自賠責保険の請求の流れ
  • 加害者請求の流れの詳細
  • 被害者請求の流れの詳細

自賠責保険の請求の流れ

自賠責保険の請求の流れ

加害者側に任意の対人賠償責任保険の契約がある場合は、その契約保険会社等が窓口になって自賠責保険の支払分もまとめて支払う一括払制度もあります。

加害者請求の請求の流れ

加害者請求の請求の流れ

被害者請求の請求の流れ

被害者請求の請求の流れ

仮渡金
被害者は、当座の出費にあてるために、診断書等を添えて仮渡金の請求ができます。仮渡金の金額は傷害の程度によって異なります。

死亡事故 290万円
傷害事故
  • 入院14日以上かつ治療30日以上を要する場合
  • 大腿または下腿の骨折 など
40万円
  • 入院14日以上または入院を要し治療30日以上を要する場合
  • 上腕または前腕の骨折 など
20万円
  • 治療11日以上を要する場合
5万円

自賠責保険(共済)損害調査のしくみ

当機構で作成している
「自賠責保険(共済)損害調査のしくみ」[1,887KB

「自賠責保険(共済)損害調査のしくみ」では、自賠責保険に請求できる損害の範囲や請求方法、当機構で行う損害調査の概要などを分かりやすくまとめています。こちらもあわせてご覧ください。

当機構では公正かつ中立的な立場で損害調査を行います

当機構では、保険会社から送付された請求書類に基づいて、事故発生状況、支払いの的確性※1および発生した損害の額などを公正かつ中立的な立場で調査※2し、その結果を保険会社に報告します。

報告を受けた保険会社は、当機構の調査結果に基づいて支払額を決定し、請求者に支払います。

※1
自賠責保険の対象となる事故かどうか、また、傷害等による損害と事故との間に因果関係があるかどうかなどの調査を行っています。
※2
保険会社から送付された請求書類の内容だけでは、事故に関する事実確認ができないものについては、必要に応じて次の調査を行います。
  • 事故当事者に対する事故状況の照会
  • 事故現場等での事故状況・周辺状況の把握
  • 医療機関に対する被害者の治療状況の確認

当機構では支払いの公平性を保つための調査体制を整備しています

保険会社に請求があると、当機構の自賠責損害調査事務所に請求書類が送られ、当機構において次の体制で損害調査を行っています。

(1)保険会社から、自賠責損害調査事務所に送付された請求書類(事案)について、自賠責損害調査事務所で損害調査を行います。

(2)損害調査の過程において、自賠責保険から支払われない、または重大な過失により減額される可能性がある事案や、後遺障害の等級認定が難しい事案など、自賠責損害調査事務所では判断が困難な事案については、自賠責損害調査事務所の上部機関である地区本部や本部で審査を行います。

(3)特定事案については、自賠責保険(共済)審査会において審査を行います。

被害者請求の請求の流れ

被害者請求の請求の流れ

認定が困難なケースや異議申立てがあったケースなどについては、外部の専門家が審議に参加する審査会を行います

認定が困難なケースや異議申立てがあったケースなどについては、その審査にあたって特に慎重かつ客観的な判断が必要とされます。そこで、当機構では、自賠責保険(共済)審査会を設置し、審査体制を整えています。

審査会では、審査の客観性・専門性を確保するため、日本弁護士連合会が推薦する弁護士、専門医、交通法学者、学識経験者等、外部の専門家が審議に参加するとともに、事案の内容に応じ専門分野に分けて審査を行います。

審査会の対象となる事案は特定事案といい、次のような事案が対象となります。

有無責等の専門部会 [対象となる事案]
  • 死亡事案で全く支払われないか減額される可能性がある事案等
  • 異議申立事案
後遺障害の専門部会 [対象となる事案]

※異議申立事案のうち、新たな資料の提出等によって自賠責保険から追加支払いができる事案や、自賠責保険支払基準に定める各損害項目の認定金額に対する異議申立事案等は、審査会の対象になりません。

自動車保険の概況

当機構で作成している「自動車保険の概況」

「自動車保険の概況」では、当機構で行っている自賠責保険損害調査に関する近年の傾向などについて、詳細に記載しています。こちらもあわせてご覧ください。

保険まめ知識

自賠責保険の概要

自賠責保険は、自動車による人身事故の被害者救済を目的として、法令により、基本的に全ての自動車に契約が義務付けられている、社会政策的な側面を持つ保険です。

自賠責保険の正式名称

自賠責保険の正式名称は「自動車損害賠償責任保険」です。

自賠責保険の根拠となる法令

自賠責保険は、「自動車損害賠償保障法」(自賠法)に基づく保険です。この法律は、1955年7月に公布されました。

自賠責共済とは

各種協同組合が取り扱うものを自賠責共済といいます。自賠法では自賠責保険と同様に自賠責共済に加入することも認められています。

当機構では、自賠責共済の損害調査も行っています。

なお、このページでは、便宜上、自賠責共済を含めて「自賠責保険」と記載しています。

自賠責保険の支払限度額

自賠責保険では、政令に定められた限度額の範囲で保険金が支払われます。限度額は以下のとおりです。

死亡の場合………3,000万円
後遺障害の場合…75万円~4,000万円(後遺障害の程度による)
傷害の場合………120万円

なお、限度額は被害者1名ごとに定められており、1つの事故で複数の被害者がいる場合でも、被害者1名あたりの限度額が変動することはありません。

加害者請求と被害者請求

加害者請求とは、交通事故の加害者が、被害者に損害賠償金を支払った後、実際に支払った金額について自賠責保険に保険金の請求をすることをいいます。

被害者請求とは、交通事故の被害者が、加害者の自賠責保険に直接、損害賠償額を請求することをいいます。

仮渡金とは

被害者は、損害賠償額が確定するまで十分な補償を受けられないこともあります。それまでの間にも治療費等の出費が必要になりますので、死亡事故や長期間の入院を余儀なくされる事故などの場合に、当座の出費にあてるために被害者側が仮渡金を保険会社に請求することができます。

有無責とは

有無責とは、自賠責保険の契約車両に損害賠償責任が有るか無いか、つまり、保険金のお支払いの対象となるかの判断をいいます。

保険金のお支払いの対象となるものが「有責」、ならないものが「無責」と言われます。

脳外傷による高次脳機能障害とは

脳外傷による高次脳機能障害とは、脳外傷後の急性期に始まり多少軽減しながら慢性期へと続く、典型的な症状としては多彩な認知障害、行動障害、および人格変化等の特徴的な臨床像をいいます。

認知障害:記憶・記銘力障害、注意・集中力障害、遂行機能障害などで、具体的には、新しいことを覚えられない、気が散りやすい、行動を計画して実行することができない、複数のことを同時に処理できない、話が回りくどく要点を相手に伝えることができない、など
行動障害:周囲の状況に合わせた適切な行動ができない、職場や社会のマナーやルールを守れない、行動を抑制できない、危険を予測・察知して回避的行動をすることができない、など
人格変化:受傷前にはみられなかった発動性低下と抑制低下であり、具体的には自発性低下、気力の低下、衝動性、易怒性、自己中心性、など

非器質性精神障害とは

脳の損傷を伴わない精神障害のことをいい、具体的な症状としては、抑うつ状態、不安の状態、意欲低下の状態、慢性化した幻覚・妄想性の状態、記憶または知覚能力の障害、その他の障害(衝動性の障害、不定愁訴など)があります。

支払われた保険金などに不服がある場合

調査結果や支払われた保険金または損害賠償額に不服がある場合、異議申立として、保険会社に再度請求を行うことができます。

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