年頭所感

2025年1月
損害保険料率算出機構
理事長 早川 眞一郎

2025年の年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は、元旦の大地震をはじめ、台風・大雨による風水災など自然災害が多く発生しました。損害保険業界は、このような災害に総力を挙げて対応し、経済損失の補償という保険の役割を果たすことで社会に貢献しました。

一方で、一昨年からの一連の不祥事により損害保険業界の運営に厳しい目が向けられており、信頼回復に努めているところでもあります。

弊機構としましては、損害保険に携わる一員として、引き続き損害保険の健全な発達と保険契約者等の利益保護のため料率団体に託された責務を遂行していく所存です。

具体的には、深刻化する自然災害に対処するためのリスクモデルの高度化と料率算出方法の改善、健全な競争環境の実現・維持のためのデータの拡充や適切な料率算出、自賠責保険制度の維持・発展のための公正・迅速・親切な損害調査の実施など、これらの業務を通じて社会の期待と信頼に応えて参ります。


さて、弊機構は第8次中期経営計画「Vision2025 ~発展と信頼~」に取り組んでおり、皆様のご支援もあり昨年は順調に計画を進めることができました。

料率業務ではリスク実態に応じた自動車・傷害保険の参考純率改定の届出、損調業務では改革プランに沿った業務の見直し・改善を進めました。また、弊機構のデータや知見を役立てていただくため、各種統計資料の発行、能登半島地震の調査報告など特定テーマに沿った情報提供も実施いたしました。組織運営の取組としては、定期的なエンゲージメント向上のための取組み、各拠点との対話などによりMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透を図りました。


これら一昨年から取り組んできた第8次中期経営計画は今年、最終年度を迎えます。これまでの検討の締めの年として諸課題の達成に向け鋭意取り組んでまいります。

新たな付加価値を提供する「発展課題」では、自動運転車社会に向けた料率制度・体系の対応、経済価値ソルベンシー規制や気候変動の影響評価に資する自然災害リスクモデルの高度化やリスク情報の拡充、新たなデータ収集のフレームワーク作りに取り組んでまいります。

業務品質の維持・向上を目指す「信頼課題」では、データ整備および料率算出業務の最適化、自賠責損害調査業務の品質向上等の業務プロセス改革に取り組みます。特に自賠責損害調査のペーパーレス化については、業界共同システムとの連携を深めつつ弊機構内での検討を進めてまいります。

また、弊機構の業務を通じて得たデータや知見に基づき、保険制度の理解や防災に役立つ情報の提供についても取り組んでまいります。特に本年は兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)から30年にあたります。弊機構では、過去の災害を風化させず、そこからの学びを生かす主旨で特設ウェブサイトを設け、関連情報を公開することとしました。


2025年は、乙巳の年にあたり、乙は柔軟性、巳は再生と変化を象徴する年といわれております。弊機構にあっても、MVVのもと組織一丸となってしなやかに成長し実を結ぶ一年にしてまいります。本年も何卒ご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。



以 上

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