年頭所感

2018年1月
損害保険料率算出機構
理事長 浦川 道太郎



新年のご挨拶に先立ち、近年の台風や集中豪雨などにより被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

地震、台風をはじめとする災害等の発生状況やその報道内容からは、自然災害リスクの一層の高まりとともに、その備えとしての損害保険や、防災・減災への関心が高くなってきたと感じます。また、安全運転サポート車の普及や自動運転技術の急速な進展等、自動車の新たな技術に関するリスク軽減効果への注目が集まってきたことを実感します。私ども損害保険料率算出機構も、このようなリスク環境の変化に応じた業務遂行の必要性とその役割の大きさを改めて認識しています。

当機構が2012年に策定した「損害保険料率算出機構 今後の10年ビジョン」では、「既存業務の基本的構造の見直しと新たな付加価値の創造によって、損害保険業の健全な発達を支え、広く社会から評価される存在を目指す」ことを掲げております。この実現によってステークホルダーの期待に応えることが、当機構の使命であり存在意義でもあります。

本年は上記ビジョンの後半の5年間に入るとともに、ビジョンの実現に向けて策定した第6次中期業務計画(2016~2018年度)の最終年度でもあります。同計画の基軸である業務品質・組織品質の向上を念頭に、3カ年計画の達成に向けて着実に成果を出すことができるよう、具体的には、次に述べる課題に取り組んでまいります。

1.環境変化に対応した料率制度・算出手法等の構築と改善

人口構成の変化や住宅の老朽化など、社会と経済の変化に対応した商品・料率制度の構築・改善に向けた取組みを進めます。また、自然災害の激甚化の懸念などを踏まえ、自然災害リスクモデルの改善に向けた取組みなどを進めます。

2.社会に対する情報発信および会員に対するサービスの拡充

社会に対する積極的な情報発信およびユーザーの利便性向上の観点から、今年1月には当機構のウェブサイトを全面的にリニューアルしました。また、情報発信の拡充として、地震防災・減災や自賠責損害調査に係るデータ提供等の強化を図ります。

会員に対しては、新たなニーズに対応した会員フィードバック統計の見直しや、自然災害リスクモデルに関する情報提供などを行います。

加えて、本邦損害保険業界等と連携し、アジアの保険関連団体との交流やアジア損保市場の安定化に資する技術協力を進めます。

3.損害調査業務の個別重点課題への対応

自賠責損害調査業務の品質向上推進の継続的な取組み、後遺障害等級認定および医療費適正化に関する体制強化、不正請求防止に向けたシステム対応といった個別重点課題に関し、注力して取り組みます。

4.新たな損害調査業務モデルの構築

自賠責損害調査業務の標準化・効率化を図り、組織体制の最適化を図ります。また、損害調査に係る情報システムについて、保険会社とのデータ連携の推進など、情報システム基盤の整備・構築によるサービスの向上に取り組みます。

加えて、2016年から順次開始したJA共済の自賠責共済にかかる損害調査引受けの対応を的確に進めます。

5.組織基盤の整備と強化

これまで述べた取組みを推進するため、人材の確保・育成、情報システム基盤や業務環境の整備を進めます。

なお、昨年から当機構においても「働き方改革」の取組みを進めており、働きやすい環境作りの実現に引き続き注力していきます。また、内部監査の充実など、ガバナンスを強化するとともに、品質向上の推進に取り組みます。


本年も当機構は、その社会的使命を果たし、ステークホルダーの期待に応えるべく、役職員一丸となって業務に専心してまいりますので、ご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。

最後に、皆様にとって本年が実り多い年となることを祈念して年頭のご挨拶といたします。


以 上

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