年頭所感

2022年1月
損害保険料率算出機構
理事長 浦川 道太郎

2022年の年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

2021年は、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、アスリートたちの躍動する姿に勇気づけられた一方、緊急事態宣言が幾度も発出される等、新型コロナウイルス感染症への対応に奔走した一年でした。加えて豪雨等の自然災害が各地で甚大な被害をもたらしました。これら感染症や自然災害により亡くなった方々のご冥福をお祈りし、罹患された皆さま、被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。

私たち損害保険料率算出機構は、「参考純率・基準料率の算出」「自賠責保険(共済)の損害調査」「データバンク」業務を通じて「損害保険業の健全な発達と保険契約者等の利益の保護」という社会的な使命を果たしています。コロナ禍の環境下にあっても、その使命を果たすため、テレワークを推進することにより感染リスクを下げ、職場クラスターを発生させずに業務を遂行しております。円滑な業務の遂行に対する関係各位のご理解とご協力に改めて感謝申し上げます。

2021年の私たちを取り巻く環境を振り返りますと、COP26をはじめとして国内外で対策が図られている気候変動・地球温暖化、世界初となる自動運転レベル3の乗用車の国内発売といった技術革新の進展など、目まぐるしい変化が続いております。私たちはこのような変化に対応すべく、第7次中期経営計画の課題を着実に進めているところです。そして、「参考純率・基準料率の算出」業務では、火災保険および自動車保険の参考純率改定の届出、自賠責保険および地震保険の基準料率改定の届出を行いました。「自賠責保険(共済)の損害調査」業務では、一人ひとりの請求者に係る損害調査を「公正・迅速・親切」に行い、加えて自動車事故の環境変化に対応するための業務プロセス改革(請求関連書類のペーパーレス化に向けた取組み等)を推し進めました。「データバンク」業務では、当機構のデータやノウハウを活用して社会に有用な情報を発信して参りました。また、コロナ禍で渡航が制限される状況下にあっても、アジア地域各国への各種保険技術の協力支援においては、オンライン会議等を開催して、交流を継続しています。

組織内では10月に当機構のミッション・ビジョン・バリューを策定しました。私たちのミッションとは、社会の中で果たすべき役割であり、そのミッションを「私たちは、損害保険を通じ、社会を支えるインフラとして、人々の安心・安全な生活の実現に貢献します」と定めました。次に、私たちのビジョンとは、このミッションを達成するために求められる組織の姿です。そこでビジョンを「私たちは、環境とニーズの変化に応じて常に改革と創造に挑戦し、社会の期待と信頼に応える唯一無二の存在であり続けます」と定めました。最後に、私たちのバリューとは、ミッションの達成、ビジョンの実現、当機構の強みを磨き続けるために必要な行動、判断の軸となる価値観です。そこで6つのバリューとして、「私たちは、専門性を高め、品質を向上させます」「私たちは、公正・迅速・親切を実践します」「私たちは、本質にこだわります」「私たちは、人づくりを大切にします」「私たちは、課題解決のため協働します」「私たちは、常に新たな視点から見直します」と定めました。
従前から、ミッションのベースとなる法令や当機構が2012年に定めた「今後の10年ビジョン」があり、自賠責保険(共済)の損害調査業務では、「公正・迅速・親切」がモットーとして深く浸透しておりましたが、組織全体のバリューとして明文化はされたものはありませんでした。そのため、「今後の10年ビジョン」も包含し、一体的に再整理することとし、全役職員参加の下に、上記の当機構のミッション・ビジョン・バリューを作り上げました。役職員一人ひとりがこれを実践していくことで、これからの劇的で非連続な環境変化においても、進むべき道を見失うことなく、当機構は社会に貢献し続けて参ります。

さて、2022年は「損害保険料率算定会」と「自動車保険料率算定会」が統合して、当機構が発足してから20年の節目を迎えます。1948年に当機構の源流である「損害保険料率算定会」が発足して以来、私たちは専門家集団として、損害保険を通じて社会を支えて参りました。これからも社会に認められ、必要とされ信頼される組織であり続けるために、急速に変化している社会環境に対応し、10年先、20年先を展望した進化を続ける所存です。ミッション・ビジョン・バリューを基盤に皆さまのご期待と信頼に応えられるよう一層努力して参ります。

今後とも、皆さまからの変わらぬご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
2022年が皆さまにとって災禍なく実り多き一年になりますよう、ご祈念申し上げます。


以 上

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