年頭所感

2026年1月
損害保険料率算出機構
理事長 早川 眞一郎

新年あけましておめでとうございます。
令和8年の年頭にあたり、皆様に謹んで新春のご挨拶を申し上げます。

昨年を振り返りますと、近年の温暖化や自然災害の傾向を受け、自然災害リスクを強く意識する一年となりました。6月から9月にかけては記録的な高温が続き、8月には線状降水帯や停滞する台風による災害が各地で発生しました。9月には排水能力を超える降雨により、これまでに例のないような大規模な浸水被害も発生しました。また、ロシア・カムチャッカ沖の地震に伴い、わが国で津波警報が発令される事態もありました。

こうした背景から、国民の防災意識が一層高まるとともに、損害保険制度への関心も急速に広がり、弊機構においても、保有する被害状況や保険普及状況に関するデータが注目され、報道機関、研究機関、保険業界など多方面からの利用が急増しました。

これらのニーズに応えるべく、弊機構ではデータの利便性向上を目的に、各種保険データを一元化し、自然災害関連の情報も新たに追加したウェブページ「General Insurance Data Space」を公開いたしました。これにより、保険制度の理解促進と災害リスクへの対応力強化に資する情報基盤の整備が一歩前進したと考えております。
さらに、国立研究開発法人防災科学技術研究所との間で、雹災リスク評価のためのデータ整備に関する共同研究契約を締結し、実務・学術の両面でのデータ活用を目指した取組みを進めております。また、弊機構の料率算出に使用している自然災害モデルが、巨大自然災害のリスク計測の標準モデルとして法令上明記され、気候変動リスク分析にも用いられるなど、保険制度の安定性・信頼性の向上、企業経営の健全化にも大きく寄与いたしました。

さて、2025年度は弊機構の第8次中期経営計画の最終年度でもあり、各業務において所期の目的を着実に達成する見込みですが、この間にも損保業界を取り巻く環境は変化し続けています。これを受けて弊機構では、新たに策定した第9次中期経営計画を2026年4月からスタートさせます。

第9次中期経営計画では「新領域を切り拓く取組み(進化)と、強固な基盤づくりの取組み(深化)により、損害保険のプラットフォーマーとして人々の安心・安全な生活の実現に貢献する」ことをコンセプトに掲げ、料率算出の業務においては「変化を適時適切に反映した社会基盤の構築・提供」、自賠責保険の損害調査業務においては「変化に適応した損害調査サービスの提供」を目指します。

一例を申し上げますと、料率算出の業務では、社会・経済・自然環境などの変化を踏まえ、制度改善や算出方法の見直し、リスク評価モデルのブラッシュアップに努めます。また、防災・減災や事故低減等の社会課題の解決・改善に資するデータプラットフォームの構築を進めます。とりわけ、昨年8月の損害保険料率算出団体に関する内閣府令等の改正による参考純率算出および標準約款作成をすることができる保険種類が拡大したことを受け、新たな保険種類における参考純率および標準約款等の提供、ならびにデータバンク機能の拡充に取り組みます。
保険業法の改正や監督指針の改定などにより、損保業界全体のビジネスモデルが大きく変わっていく中で、保険会社はデータと保険数理に基づく事業経営を一層求められています。その中でわが国におけるリスクマネジメント態勢や損害保険の活用・普及には、さらなる成長の余地があると考えています。 弊機構としては、その役割を認識して損害保険事業の健全な発展に寄与する付加価値を提供してまいります。
自賠責保険の損害調査業務では、ペーパーレス事案の定着に向けた業務プロセスの標準化や事案処理体制の構築、技術革新やデジタル化の進展を活かした新たな業務プロセスの構築を進めます。
そして、これらの取組みを支えるため、組織基盤の強化にも注力してまいります。サイバーセキュリティを含むシステム基盤の強化、事業環境の変化および事業領域の拡大に対応できる組織体制の構築などを通じて、持続可能な業務運営を実現してまいります。また、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透や従業者のエンゲージメント向上への取組みは、今後も不断に続けてまいります。

2026年の干支「丙午(ひのえうま)」は、燃え立つ炎と、勢いよく駆ける馬のごとき情熱と行動力を象徴するとされています。この力強い流れに乗り、皆様のご期待にお応えすべく、次なる目標に向けて邁進してまいります。今後とも変わらぬご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げるとともに、皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

以 上

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