金融庁長官メッセージ

料団法公布・施行および料率算出団体設立70周年を迎えて

2018年11月1日

金融庁

長官 遠藤 俊英

「損害保険料率算出団体に関する法律」(料団法)の公布・施行および貴機構の前身団体である「損害保険料率算定会」の設立から本年で70年を迎えました。わが国の損害保険が歩んできた長い道のりに、改めて思いを致すところです。

中でも、1996年に合意に至った日米保険協議による「規制緩和」と、続く1998年の料団法の全面的な改正による「保険料率の自由化」は、家計向け損害保険市場に商品の差別化による市場競争をもたらす大きな変革でした。

とりわけ貴機構への影響は大きく、この料団法改正により、その中核業務である保険料率算出業務は、遵守義務のあったいわゆる「算定会料率」の算出から、損害保険会社各社が自動車損害賠償責任(自賠責)保険及び地震保険について一律に用いている「基準料率」と、損害保険会社各社が自動車保険や火災保険などを開発する際の指標となる「参考純率」の算出に替わり、当該業務の損害保険制度における位置付けが大きく変わりました。

このような環境変化を経験しながらも、わが国の損害保険制度における特長的組織として、貴機構は、料率算出および自賠責損害調査業務を通じ、今日に至るまでその存在意義を発揮されてきました。これは、貴機構の社会的使命に真摯に応えようとする努力があってのことと認識しています。

わが国の損害保険制度は、国民生活を守るインフラとして世界に誇れるものです。昨今では政府主導の国際的技術支援として、このスキームをアジア諸国に広く伝えていくことが期待されており、貴機構にも参加いただき各種支援を展開しています。

そしてまた、近年の激甚化する自然災害、自動車技術の急速な進展等、損害保険事業を取り巻く環境は大きく変化しており、損害保険は柔軟かつ迅速な進化が求められています。

貴機構におかれましては、新たな環境においてもその責務を果たし、料団法の目的である損害保険業の健全な発達と保険契約者等の利益の保護に資するよう、引き続き尽力されることを期待しています。

金融庁

長官 遠藤 俊英